粉末冶金(焼結)とMIM成形の違いについて
粉末冶金(焼結)とMIM成形の違いについて
粉末冶金(焼結)とMIM(Metal Injection Molding、金属射出成形)は、どちらも金属粉末を成形して製品を作る技術ですが、それぞれのプロセスや特徴に違いがあります。
1. 粉末冶金(焼結)とは?
粉末冶金(PM, Powder Metallurgy)は、金属粉末を圧縮・成形し、焼結(高温で加熱して粒子を結合させる)することで部品を製造する方法です。
(1) プロセス
- 金属粉末の調合
- 使用する材料(鉄、ステンレス、銅、ニッケルなど)の粉末を混合。
- 成形(プレス)
- 金型を使い、粉末を高圧で圧縮して成形。
- 焼結
- 800~1300℃程度の温度で加熱し、粉末粒子を結合させる。
- 仕上げ加工(必要に応じて)
- 機械加工、表面処理、浸炭焼入れなどを実施。
(2) 特徴
✅ コストが安い(材料ロスが少なく、大量生産向き)
✅ 高い寸法精度(ただし、機械加工ほどの精度は難しい)
✅ 多孔質な構造が可能(潤滑剤含浸などに利用)
⚠ 複雑形状には不向き(金型の制約がある)
⚠ 機械的強度が鍛造品より低い(粉末粒子間の結合が完全ではない)
2. MIM(Metal Injection Molding, 金属射出成形)とは?
MIMは、金属粉末と樹脂バインダーを混ぜて射出成形し、脱脂・焼結して金属部品を作る方法です。
(1) プロセス
- 材料調合(フィードストック作製)
- 金属粉末とバインダー(樹脂)を混合。
- 射出成形
- プラスチック成形と同じ方法で、金型に射出成形。
- 脱脂処理
- バインダーを熱や溶剤で除去し、多孔質の「グリーン部品」にする。
- 焼結
- 1000~1400℃の高温で焼結し、金属密度を向上させる。
- 仕上げ加工(必要に応じて)
- 研削や熱処理などを実施。
(2) 特徴
✅ 複雑形状の製造が可能(3D形状やアンダーカットもOK)
✅ 高密度・高強度(95%以上の理論密度を実現)
✅ 寸法精度が高い(±0.3~0.5%の精度)
⚠ コストが高め(特に小ロット生産には向かない)
⚠ 焼結による収縮管理が難しい(正確な形状を得るには経験が必要)
3. 粉末冶金(焼結)とMIMの比較
項目 | 粉末冶金(PM) | MIM(MIM7含む) |
---|---|---|
形状の自由度 | シンプルな形状(円筒形、ギアなど) | 複雑形状が可能(中空、薄肉、アンダーカット) |
密度・強度 | 85~90%(気孔が多い) | 95%以上(鋳造品に近い強度) |
寸法精度 | ±0.5~1.0%程度 | ±0.3~0.5%程度 |
製造コスト | 低コスト(大量生産向き) | 高コスト(小ロット向けではない) |
用途 | ギア、軸受、フィルターなど | 医療器具、時計部品、自動車部品、小型精密部品 |
4. MIM材料とは?
「MIM」は特定の規格や材料グレードがあります、、鉄、ステンレス、チタン、パーマロイ、様々な材料があります。
5. どちらを選ぶべきか?
- 単純な形状でコストを抑えたい場合 → 粉末冶金(PM)
- 複雑な形状、高強度、精密加工が必要 → MIM
MIMは高精度・高強度な部品向きですが、コストが高くなるため、用途によって適切な製造方法を選択する必要があります。
具体的にどのような部品を製造したいのか、用途や精度の要求があれば教えてください!
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