リン青銅とは?
リン青銅は、リンを加えることで青銅の利点を維持しながら高性能化した合金です。電子部品や機械部品などに広く利用され、特に有用なばね材として知られています。しかし、電子機器や機械の内部で用いられることが多いため、リン青銅について詳しくは知らないという方が多いことでしょう。金属製のばねを自社の製品に使用するという方は、リン青銅について知っておくことは必要かと思います。
リン青銅の特性
リン青銅は、銅とスズの合金である青銅にリンを加えることで、青銅内部に含まれる酸化銅を脱酸した金属です。サビとして存在する酸化銅を取り除くことで、強度や硬度が向上し、耐摩耗性や弾性が改良されます。そのため、リン青銅は、加工性が高く耐食性に優れた青銅をより優れた合金にしたものといえるでしょう。
強度、耐摩耗性が高い |
具体的には、強度の指標である引張強さや耐摩耗性の指標である硬度については、リン青銅では鍛造やプレスによる加工硬化で3倍程度まで値に開きがあるものの、鉄鋼と同程度のリン青銅もあり、純銅と比べると約1.5~3倍です。 |
耐疲労性に優れる |
耐疲労性については引張強さと相関があることから、鉄鋼と同程度で、純銅よりも優れているといえるでしょう。また、ばね用リン青銅という種類では、リン青銅に低温焼きなましを実施するため、金属内部の残留応力が取り除かれ、本来の耐疲労性能を発揮することができます。 |
ばね性に優れる |
ばね性の指標となる靭性と弾性については、リン青銅の弾性は純銅と同程度ですが、靭性は純銅の1.5~3倍にもなります。 |
導電性・熱伝導性が高い |
導電性や熱伝導性は、スズの含有量が少ない種類のリン青銅で、銅の1/2程度、真鍮の2倍程度となっており、強度の高い銅合金の中では比較的高い値を示します。 |
化学的腐食に強い |
銅合金は鉄などの実用金属の中では耐食性が高いですが、リン青銅は、真鍮を腐食させる亜硫酸でも耐食性を示すなど、銅合金の中でも化学的腐食に強いです。 |
非磁性である |
リン青銅を含む銅合金のほとんどは非磁性です。しかし、磁性金属である鉄やコバルトが不純物として混入してしまうと、わずかながらも磁性を示してしまいます。その場合、電子機器などに用いるとノイズなどの原因になってしまうので注意が必要です。 |
曲げ・絞り加工性に優れる |
加工性については、切削、プレス、曲げ、絞りなどの加工が可能ですが、スズの含有量が多い種類ほど、強度や硬度が高まり、展延性も低くなります。またリン青銅は、銅合金の中では硬いため、真鍮などと比べると切削性が良いとは言えません。そのため、リン青銅では、プレスや鍛造、曲げ・絞りなどの加工方法を選択することが多いです。 |
リン青銅の用途
リン青銅は、電子部品や機械部品、日用品などに広く利用されています。電子部品では、非磁性であることや導電性の高さを活かし、スイッチ、コネクター、リレー端子、リード端子、リードフレーム(ICを外部配線と接続するための端子)などに。機械部品では、強度や耐摩耗性、耐食性に優れることから、ボルトやナット、軸受や歯車などに。また、優れたばね性を活かしたばね材として、電子機器用の非磁性電気伝導ばねや機械用のばねなどに用いられています。リン青銅は、日用品として、楽器や様々な金物などにも広く利用されています。
リン青銅の種類と材料記号
リン青銅の種類は、スズの含有割合とばね用として低温焼きなましを行ったか否かによって分類されます。材料記号では、C5〇〇〇のように、銅合金を表す頭文字Cと5を先頭とする4桁の数字で表記されます。
リン青銅の種類
ばね用リン青銅の種類
リン青銅は、傾向として、スズを多く含有するほど強度や耐摩耗性は高くなりますが、導電性や熱伝導性は低下します。そのため、ズズの含有量が1.0~2.3%と少ないC5050とC5071では、導電性が高いことから、端子やコネクターなどの電子部品に用いられています。一方、ズズの含有量が3.5~9.0%に及ぶC5102、C5111、C5191、C5212では、強度や耐摩耗性に優れることから、電子部品のほか、機械部品、また、ばね材としても多く利用されています。
ただし、より高いばね性能を必要とする場合は、低温焼きなましによって弾性や疲労強度を向上させたC5210やC5240が選択されます。
まとめ
リン青銅は、青銅に比べて強度や耐摩耗性、弾性に優れ、電子機器や機械のばね部品に多く用いられています。その種類は、主にズズの含有量によって分けられますが、特にばね性能に優れたものとして、焼きなましを施したばね用リン青銅がJIS規格で規定されています。
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岐阜精器工業のプレス加工について
精密プレス部品の金型開発から試作量産まで承っております。弊社ではお客様の要望する数量やコストに合わせて最適な加工方法にて製造致します。国内、海外にて製造が可能で納期、価格についてお気軽にお問い合わせください。創業50年の技術と知識を活かして、多種多様なお客様のニーズにお答え致します。
>> プレス加工・板金加工について~絞り加工、プレス金型製作
中国でのプレス加工について
弊社は2002年に東京大田区・中国広東省にプレス加工、金型製作の生産工場を設立いたしました。現地の日系サプライヤーに対して日系品質のプレス加工品をOUT-OUTで納入いたしております。弊社は現地の低コストにて金型を製作し、プレス加工の量産をしています。中国でのOUT-OUT取引、日本、タイ、ベトナムなどのへの輸出にも対応可能です。現在、中国工場では日本人1名、ローカルスタッフ100名にて工場を運営しております。グループ会社である日本法人、香港法人と連携してお客様対応しております。中国で生産するプレス案件に関しては、日本での打ち合わせが可能となっております。
岐阜精器(佛岡)五金製品有限公司
GPC(Fogang)Industrial Co,Ltd
中国でのプレス加工生産事例
弊社は中国に進出して20年以上となります。これまでに中国工場にて複雑高精度のプレス加工、絞り加工品を製作してきました。弊社は中国工場にて順送プレス、トランスファープレス、単発プレスに対応しております。プレス金型もすべて中国工場にて設計、組み立てを実施しております。
生産事例
端子・リン青銅 順送プレス加工
照明関連部品 リン青銅 C5210 順送プレス加工
大田区での金型設計について
弊社は東京大田区にて金型設計を行っています。設計したCAD図をもとに自社中国工場にて金型部品の製作、組み立てを行っています。プレス金型は単発、順送、トランスファーと設計することが可能です。プレスでは打ち抜き、曲げ、絞り加工に対応する金型設計が可能となっています。大田区の協力企業様も多く、試作から量産まで大田区、中国工場にてワンストップで対応しております。
プレス金型製造販売について
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精密プレス加工・深絞り加工について
精密プレス加工とは?
精密プレス加工とは、プレス加工の中でもより精密な加工方法を指します。通常のプレス加工よりも難易度の高い製品を作るのが大きな特徴で、加工に使う金型も、より高精度なものが必要になります。真鍮は薄く伸ばしてシート状に加工しやすい材料のため、プレス加工に向いている材料の1つです。
プレス加工との違い
プレス加工と精密プレス加工は、実は基本の加工方法は同じです。プレス加工とは金型と金型を組み合わせて金属を打ち抜くような加工方法で、型抜きクッキーや穴あけパンチのようなイメージとなります。金型には鋼材などを使うのが一般的です。精密プレス加工で使われている金型は、SKD・タングステン・グラファイト・セラミック・モリブデン・クロムなどさまざまな特殊材料を使っているのが特徴です。プレス加工よりも精度の高い金型を作るため、時間をかけて設計してから多くの材料を用いて製造しています。
深絞り加工とは?
絞り加工とは2つの金型でシート状の材料を挟み、凹凸のある形に仕上げる加工方法です。円柱や円錐、角筒などの形状を作るのに適しています。真鍮の絞り加工では、真鍮を薄いシート状に伸ばしてから金型で成形します。展延性に優れている真鍮は絞り加工にも向いており、加工性の高さからさまざまな部品に用いられているのが特徴です。
表面加工もしやすく、コネクタ部品や釣具など多くの製品に活用されています。真鍮の絞り加工をする際は表面加工が重要なポイントとなり、加工をしなければ酸化して黒ずんだり錆びたりするので注意が必要です。
金属加工なら岐阜精器工業。創業50年の実績と豊富な経験により高精度でスピーディーに対応!1970年の創業から金属プレス加工、金型設計・製作、部品加工を行う企業です。長年培った技術を活かした『提案力』を武器にお客様の製品開発をサポートさせていただいております。
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