焼結加工とは?
焼結加工とは、粉末状にした材料を金属の型の中に入れてプレスして固め、その後材料の融点よりも低い温度で長時間焼いて焼き固める加工方法です。粉末状にして加熱すると、粒子間の隙間が小さくなり結合します。この現象を「焼結」とよび、焼結の特性を生かしたのが焼結加工です。別名「粉末治金方法」とも呼ばれています。
焼結加工は、主に自動車部品や歯車などのパーツ、機械部品などの製造に用いられる場合が多いです。小ロット生産はもちろん、型枠があれば同じ製品を作り続けられるため、大量生産にも対応できます。
焼結加工の工程
混合・粉砕
まず、原材料になる粉末を上記画像のような混合機を使って混ぜ合わせたり、さらに細かく粉砕したりする工程です。数種類の素材が合わさった合金製品を作る場合は、材料同士の比率に注意しましょう。また、粉末の中には焼結が難しい材料があります。その際には、製品に影響が出ない範囲で焼結助剤と呼ばれる不純物を混ぜることもあります。焼結助剤を入れることで、焼結性が高くなり粒子同士がつながりやすくなります。
成形
粉末ができたら次は金型に入れて圧縮成形する工程です。上下から強い圧力をかけることで密度が増します。その結果、高い剛性を持った製品が成形可能です。金型に粉末をいれて形を作るため、複雑な形状の製品にも柔軟に対応できます。
圧縮後、金型から成形品を外し、次の焼結工程へ移ります。
焼結
焼結加工で特に重要な工程である焼結を行います。圧縮成形した製品を専用の焼却炉で数時間加熱します。この際に、材料の融点より低い温度で加熱するため、素材が溶けることなく焼結が可能なので材料のロスなども少ないです。粉末状の細かい粒子は熱を加えることで強く結合するので、高い強度を誇る焼結加工品ができます。焼結後の部品は、前工程で成形したサイズよりも小さくなります。粒子が熱により結合することでさらに圧縮するからです。また加工時の工夫として、材料が金属の場合は加熱中に焼却炉の中を不活性ガスで充満させ、製品が酸化しないようにする場合もあります。
二次加工
焼結加工が終わった製品は、必要であれば二次加工を行っていきます。二次加工では、旋盤やフライス盤、マシニングセンターなどを使って、依頼側の基準交差内におさまるように細かく加工していきます。また、強度を上げるために熱を加える加工方法を行う場合もあるでしょう。
二次加工については、製品によっては必要でない場合もあるので、無駄なコストをかけてしまわないように、加工メーカーとしっかりと話し合うことがおすすめです。
焼結加工のメリット
焼結は板金加工やベンダー加工など比べると、材料が粉末状のために焼結加工は複雑な形状に対応できます。また、1つの型枠があればその金型を使って何度でも同じ製品を生み出せます。つまり大量生産に向いているのが焼結加工のメリットです。そのほかに、鋳造では作れない部品も作れるのがポイントです。鋳造では、融点が高い材料の加工は難しいです。融点が高いと材料を溶かすのに時間や作業コストが通常よりも多くかかるため、製品が高くなってしまいます。
しかし、焼結加工であれば融点よりも低い温度で加熱します。鋳造よりも低いコストで高融点の材料も加工可能です。
焼結加工のデメリット
焼結加工には主に3つのデメリットがあります。
1つ目は、製造コストが高くなることです。金属などは、基本的に最初は鋼材のような形で入荷されます。そのため、それを粉末にするために加工コストがかかり、粉末状の材料の方が価格が高くなってしまうのです。ですので、製造コストが高くなってしまう可能性があります。
2つ目は、緻密な部品の成形が難しい点です。粉末状にした場合、成形、焼結時にどうしても粒子の間に極めて小さい空間ができます。その空間が少しでも大きいと、製品内部に空気が残ってしまうため、より細かい部品の成形は非常に難しいでしょう。
3つ目は、熱を加えて粒子が結合する際に成形品が収縮してしまうデメリットがあります。圧縮して作った成形品よりも小さくなるため、多くの場合高い寸法精度を出すことは難しいでしょう。
焼結加工の主な用途
焼結加工では、大量生産が容易なメリットを生かして、プーリーやスプロケットなど他の加工方法では複雑で作れない形状をした小型部品の製造によく使われています。
プーリー
プーリーとは、ロープやベルトなどと併せて使われる動力伝達のための部品です。見かけること自体は少ないですが、動力装置の内部や自動車、自転車などにはほぼ100%の確率で使用されています。
プーリーの種類はさまざまで、ベルト伝動に使われる「標準Vプーリー」や歯車機能を持った「タイミングプーリー」などがあります。
基本的にサイズが小さいものが多く、特殊な形状をしたものもあまりありません。焼結加工で一度金型を作ってしまえば大量生産が容易です。
スプロケット
スプロケットとは、チェーンの回転を軸に伝達するための歯車です。逆に、軸の回転をチェーンへと伝達する役割も兼ね備えています。基本的に、ハブの種類によって以下の3種類に分けれます。
- 平板型(上記画像の真ん中)
- 片ボス型(上記画像の左)
- 両ボス型(上記画像の右下)
焼結加工であれば、金型を使って複雑な形状の製品も容易に加工可能です。歯車の歯の数(丁数)や形状を決めて金型を設計すれば大量生産も行いやすいです。そのため、スプロケットも焼結加工でよく作られる部品となっています。
加工事例
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弊社では金属粉末射出成型の製造を承っています。
MIMはミリオーダーで三次元複雑形状の製造を可能にした次世代の微細成形加工をになう技術。今後は医療用器具や電子機器など、マイクロ部品の製造技術として小型化、複雑形状にも対応できることから幅広い分野での活躍が期待されております。弊社は小ロット~量産まで金型製作から責任をもって承ります。また更なる低コスト化を目指し海外調達も可能です!!
製造可能材料
一般的なMIM使用材料に加えチタン、パーマロイなどの製造実績があるのが特徴です。
工具鋼 | SKD11 | SKH51 | SKH57 | |
ステンレス鋼 | SUS304L | SUS316L | SUS630 | SUS430 |
磁性材料 | 純Fe | Fe-Si(1~3%Si) | PB・PC パーマロイ |
パーメンジュール |
低膨張材料 | コバール | アンバー | スーパーアンバー | |
Ti及びTi合金 | 純Ti | Ti-Al合金 | ||
低合金鋼 | Fe-Ni-C(1~8%Ni~0.8%C) | Fe-Cr-C8(0.5~2%Cr- 0.4~0.8%C) | SCM415 | |
VA/VE提案事例
ダイキャスト製法からMIM(金属粉末射出成型)への工法転換
お悩み | ダイキャスト(die-casting,)で製作をしていたが、鋳巣が多く発生することから強度不足となり組み立て後に割れが発生することが頻繁に見られた。 |
弊社からの提案 | ダイキャスト(die-casting,)からMIM(金属粉末射出成型)へ工法転換を行いました。 MIMは蜜度95% 以上で、空孔は丸い独立した形をとっているため、機械的強度が優れている。また材質をSUS630へ変更することにより強度を高めた。 |
効果 | 工程内不良が減りコストダウンへとつながった。 |
岐阜精器工業
TECH-JOURNEY
金属・樹脂加工の海外調達、コストダウンなら