ジュラルミンとは、高強度なアルミ合金のことを言います。アルミ合金にも様々な種類があり、その中の一部がジュラルミンです。JIS規格ではA2017(ジュラルミン)、A2024(超ジュラルミン)、A7075(超々ジュラルミン)と言い、アルミ合金は1000~8000番台まで種類分けされています。ジュラルミンにも、超ジュラルミンなどの種類がありますが、超が付くほど強度に優れた材料になります。
ジュラルミンとは?
ジュラルミンはアルミニウム合金でできています。純アルミ(A1100)や汎用アルミ(A5052)等、通常高い強度は持っていませんが、ジュラルミンの場合は銅が添加されているため、高い強度の性質を持っています。軽さ+強度が加わったことでその用途は一気に広がります。航空宇宙機器、船舶部品、自動車部品、鉄道車両、金属バットなどにも使用されています。その種類は、A2017(ジュラルミン)、A2024(超ジュラルミン)、A7075(超々ジュラルミン)の3種類があります。また、ジュラルミンの種類により、含まれている元素は変わってきます。2000系であるジュラルミンや超ジュラルミンは、アルミ二ウムと銅が主の合金になります。超々ジュラルミンと呼ばれる7000系の場合はアルミニウムに、亜鉛、マグネシウム、銅が加えられた合金になります。
ジュラルミンの特徴と強度
ジュラルミンの特徴
ジュラルミンの大きな特徴は、アルミニウムに銅を加える事で、強度を確保している点です。ジュラルミン、超ジュラルミン、超々ジュラルミンすべてに銅が添加されています。これら3つの違いについては後ほど解説しますが、銅が添加されたアルミ二ウム、というのが大きな特徴です。銅が含まれている事で、一部の特性に注意が必要なので紹介します。
ジュラルミンの耐食性
ジュラルミンの溶接性
溶接には通常の溶接よりも低温となる、抵抗スポット溶接機が用いられます。使用される溶接棒によっても、仕上がりに大きく差が出るようなので、溶接にはある程度の経験、ノウハウが求められます。さらに、溶接施工が難しいので、ジュラルミンを結合する場合は、リベットやボルトが使われる場合も多くあります。
ジュラルミンの強度
硬度の比較
種類 | 硬度 |
A5052 アルミニウム | 65HB |
A2017 ジュラルミン | 105HB |
A2024 超ジュラルミン | 120HB |
A7075 超々ジュラルミン | 160HB |
SS400 普通鋼(軟鋼) | 130HB |
SUS304 ステンレス | 187HB |
上記の表から通常のアルミニウムと比較し、ジュラルミンがどれほど硬度に優れているのかがわかります。柔らかいアルミニウムに銅を添加し、合金となることで、SS400程度の硬度と引っ張り強度を得ることができるようになるのです。反対に、ステンレスと比較すると、ジュラルミンの硬度が105HBに対しステンレスが187HBなので、ステンレスの方が硬度は優れています。(比強度ではジュラルミンの方が優れています。)
A2017、A2024、A7075の比重と強度
材料 | 比重 | 質別 | 引張強さ(N/mm2) | 切削性 |
ジュラルミン(A2017) | 2.79 | T4 | 425 | 〇 |
超ジュラルミン(A2024) | 2.77 | T4 | 470 | 〇 |
超々ジュラルミン(A7075) | 2.8 | T6 | 570 | △ |
アルミニウム 汎用アルミ(A5052) | 2.69 | H34 | 260 | △ |
チタン2種(TP340) | 4.51 | – | 340-510 | △ |
鉄(SS400) | 7.87 | – | 400-510 | ◎ |
ステンレス(SUS304) | 7.93 | – | 520 | △ |
※上記数値は参考値です。使用環境などにより異なります。
比重
まず比重とは、材料密度と水の密度との比をいいます。1より大きい数値は、水に沈み、1より小さい数値は水に浮かびます。ジュラルミンの密度は、2790kg/m3、水の密度(4℃)は、1000 kg/m3ですので、ジュラルミンの比重は 2790÷1000=2.79 となります。鉄やステンレスやチタンなどと比べても軽いことがわかります。
引張強さ
引張強さとは、簡単に言い換えると「強さ」になります。引っ張るように力を加えていくと、材料に負荷(応力)が発生し、応力がある点に達すると一度その力が低下します。この点を降伏点と言い、降伏点に達すると材料はスライムのように伸び変形し、応力が再び大きくなります。ここで、最大応力となる点を引張強さと言います。その後、材料は破断します。
加工方法
ジュラルミンは、切削加工、切断加工、プレス加工など、通常の鉄鋼材料と同様に様々な加工を行う事ができます。ジュラルミン製のボルト、ギア部品、軸受け、油圧部品など複雑で強度が必要な部品をつくる事も可能です。
さらに、比重の軽さを武器に部品の軽量化をはかる事もできます。ステンレスなどと比較すると、重量は1/3程度になり、軽量化へのパフォーマンスは非常に高いと言えます。
加工する際の注意点
Cu(銅)が添加されているジュラルミンは強度が強い反面、耐食性が劣ります。アルミは錆に強いイメージがありますが、アルミ合金に関しては加えられた元素によって特性が大きく変わる事を理解して加工する必要があります。例をいくつか挙げると、1000番系のアルミ(純アルミ)は強度が低く、粘り気が強いため、切削加工時の難易度は上がってしまいます。2000番系であれば、溶接割れが発生しやすいため、一般的に溶接には不向きだと言われています。特に、2000番系のジュラルミンは「耐食性が低い」「溶接性が悪い」という特徴があるので加工の際には注意が必要です。5000番系は、Mg(マグネシウム)が添加される事で耐食性と強度を向上させた材料になるので、加工性が良く、切削材料として一般的に広く使用されています。このように、アルミ合金の中でも添加物によって特性が変化するので、アルミ合金を加工する際はその特性を理解したうえで作業を行う必要があります。
ジュラルミンと超ジュラルミンなどとの違い
超ジュラルミンとは
超々ジュラルミンとは
ジュラルミンと超ジュラルミン
ジュラルミンと超々ジュラルミン
加工事例
弊社のアルミ加工事例をご紹介致します。
製品用途 |
機械関連部品 |
材料名 | A2017 |
加工方法 | マシニング加工 |
製品用途 |
装置関連部品 |
材料名 | A2024 |
加工方法 | マシニング加工 |