ZAM鋼板®︎は高い性質を持ち合わせているため、環境に優しく、作業者にも優しい性能をもち、さらにはコスト面でも活躍してくれるモノです。今回はZAM鋼板®︎について、メリット・デメリット・特徴・用途などについて説明していきます。
ZAM鋼板®︎とは
ZAM鋼板®︎とは、耐食性・加工性・コスト削減・環境対応を兼ね備えた「溶融亜鉛、アルミニウム、マグネシウム合金めっき鋼板」のことです。ZAMは日新製鋼株式会社が開発した鋼板の商品名となっており、Z(溶融亜鉛)、A(アルミニウム)、M(マグネシム)の文字から命名されております。
ZAM鋼板®︎と類似した商品
ZAMはガルタイトから派生した商品ですが、他にも種類があり、スーパーダイマ(SD)、エコガルなどがありそれぞれの製品は特性がかなり異なります。
ZAM
亜鉛にアルミニウムを6%、マグネシウムを3%加えた合金
スーパーダイマ
亜鉛にアルミニウムを11%、マグネシウムを3%に加え、若干のケイ素を加えた合金
エコガル
ガルタイトにニッケルと微量のマグネシウムを加えた合金
ZAM鋼板®︎の特徴
耐食性「腐食に強い・錆びにくい」
溶融亜鉛メッキの鋼板の10~20倍の耐食性をもち、品質を長く保つことができるため、コストダウンの目的として導入される場合もあります。切断した端面部では、めっき層から溶けだしたアルミニウム、マグネシウムを含む亜鉛系保護膜が端面部を覆い被さる形になることで、耐食性に効果を発揮します。
加工性
溶融亜鉛メッキ鋼板と比較すると、メッキ層が硬いものです。そして表面が滑らかな作りとなっていますので、加工がしやすい素材です。プレス加工を行う際も、加工割れが少なく成形でき、フランジも少ないため工程作業が少なくなります。その結果、生産効率も上がり、導入する際も初期費用を安く抑えられるため、こちらでもコストダウンできます。レーザー加工を行う場合、端面処理が必要になりますのでご注意ください。
環境対応
RoHS(特定有害物質使用制限)やELV(ELV指令)などの環境規制にも対応しています。ZAMは、クロムを含まない被膜となっているので、環境に優しいといえます。
ZAM鋼板®︎は高い機能性から幅広いジャンルで使用
道路・土木 | 遮音壁や防風板 |
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農酪・水産 | 農業ハウスの骨組みやブドウ棚支柱 |
鉄道関連 | ケーブル支持金具やホームドア内部材 |
工場関連 | ケーブルラックや太陽光発電モジュール架台 |
住宅関連 | V充電器や住宅構造材 |
自動車部品関連 | ドアロックやワイパーリンク |
上記の使用例から、ZAMはとても高い耐食性をもっているため、雨風に対して確実に侵入を防がなければならない場面において使用されていることがわかります。道路などで風が強ければ、車の運転主が危険です。工場やEVの充電器は、腐食が進んでしまい、ケーブルラックが落下してしまうと大惨事になるかもしれません。このような現場で決して起きてはならない場面で活躍しているのがZAM鋼板®︎です。
ZAMには使用用途に応じて多数の製品がある
ZAMの開発元でもある「NIPPON STEEL」ではさまざまな商品があり、その中で4つのポイント「加工性・溶接性・塗装性・意匠性」に重視した製品があります。
加工性
ロールフォーミング(ロール成形)やプレス加工時に発生するメッキ層への傷を減らせます。また耐指紋性もあることから、加工時の作業者の指紋が目立たないのが特徴です。製品、作業者の両方に優しい性能を持ち合わせているのが、ZG処理・疵付き低減とZJ処理・表面潤滑性(摩擦係数低減)です。
塗装性
優れた塗装後の耐食性をもっているため、溶接の方法の1つでもあるスポット溶接を行った箇所において塗装後の耐食性が高いのが特徴です。
またまったくクロムを含まない被膜なので、RoHS(特定有害物質使用制限)やELV(ELV指令)などの環境規制にも対応しています。
溶接性
優れた導電性をもっているのが特徴的で、無機系皮膜により、電気抵抗が低いため、スポット溶接に優れています。また塗装処理を省略することができる製品もあるのが、ZAMplusのZP処理・塗装密着性です。
意匠性
意匠性とは、デザインを指します。特徴的なのは、優れた塗装性や黒色意匠性などから、金属の光沢を抑えられるので太陽光などの反射を減らすことが可能です。また黒ZAMと呼ばれるものは、黒色を施していますので、吸放熱特性があります。色や塗装性を兼ね備え、遮音壁などで使用される製品が、AMplusのZPG処理・低光沢と黒ZAM黒色外観です。
メリット
ZAMは、加工性に優れます。 特に、プレス加工性に優れていますが、その理由は、従来のSGCCと比較しメッキ層硬く、平滑な点にあります。 加工性が優れるため、加工精度が高く、さらに量産性を向上できるというメリットがあります。
デメリット
ZAMは他の鉄、ステンレス(SUS)に比べると溶接性が悪いというデメリットがあります。 ZAMのメッキ層である亜鉛(Zn)やマグネシウム(Mg)が低融点金属なので溶接した際の熱により溶融・気化してしまうため、スパッタ、ブローホールの増加、クラックによる溶接部の強度低下の原因になり注意が必要になります。
まとめ
ZAM鋼板®︎の使用例や特徴について解説いたしました。ZAM鋼板®︎はあらゆるシーンで活用されており、腐食してしまい、トラブルが決して起きてはいけない場面で多く使用されています。耐食性・加工性・コスト削減・環境対応など、あらゆる面で活躍するZAM鋼板®︎は影の立役者のような商品です。TECH-JOURNEYでは、ZAM材の加工において高品質な製品とサービスを提供することに取り組んでいます。お客様のニーズに合わせたカスタムソリューションを提供し、迅速かつ正確な加工を実現します。
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