梨地アルマイトの種類と処理方法
1. 梨地アルマイトとは?
梨地アルマイトとは、アルミニウムの表面に微細な凹凸を作り、光を拡散させることでマット(艶消し)な外観に仕上げる陽極酸化処理の一種です。表面の質感が和梨の皮のようにザラザラしていることから「梨地」と呼ばれます。
2. 梨地アルマイトの種類
梨地アルマイトは、前処理の方法によって以下のように分類されます。
(1) 化学梨地アルマイト
処理方法:
- アルカリエッチング処理:苛性ソーダ(NaOH)などのアルカリ溶液でアルミ表面を溶解し、微細な凹凸を形成。
- 酸処理(ディスムット反応):硝酸や硫酸で処理し、さらに均一な梨地面を作る。
- 陽極酸化処理:通常の硫酸アルマイトと同様に処理。
特徴:
- 均一で細かい梨地が得られる。
- 自然なマット感がある。
- コストが比較的安い。
(2) ショットブラスト(サンドブラスト)梨地アルマイト
処理方法:
- ショットブラスト処理:アルミ表面にガラスビーズやアルミナ粒子を吹き付けて機械的に凹凸を形成。
- 陽極酸化処理:通常のアルマイト処理を行う。
特徴:
- 荒さを自由に調整できる(#100〜#600など粒度によって変化)。
- しっかりとした梨地感が出る。
- 表面のキズを隠すのに有効。
(3) 電解梨地アルマイト(特殊なケース)
処理方法:
- 特殊な電解液を用いて、電気化学的にアルミ表面を粗面化。
- その後、通常の陽極酸化処理を行う。
特徴:
- 均一な梨地面が得られる。
- 工業用部品などに使われることが多い。
3. 梨地アルマイトの処理工程(一般的な化学梨地アルマイトの例)
- 脱脂(アルカリ洗浄)
- 油分や汚れを除去
- エッチング(アルカリ溶液処理)
- アルミ表面を溶解し、微細な凹凸を形成
- ディスムット処理(酸処理)
- 均一な梨地表面に仕上げる
- 陽極酸化処理(アルマイト処理)
- 硫酸溶液中で電解し、酸化皮膜を形成
- 封孔処理(シール処理)
- 耐食性や耐摩耗性を向上させるため、熱水やニッケル塩で処理
- 仕上げ・検査
- 必要に応じて染色や電解着色を施す
4. 梨地アルマイトの用途
- 家電製品(スマホやノートPCの外装、カメラボディ)
- 自動車部品(内装パネル、アルミホイール)
- 建築・インテリア(アルミサッシ、照明器具)
- 機械部品(光学機器、精密部品)
5. 梨地アルマイトのメリット・デメリット
✅ メリット
- 反射を抑えた高級感のある外観
- 指紋や傷が目立ちにくい
- 均一な梨地面が得られ、意匠性が高い
- 耐食性や耐摩耗性を向上させる
❌ デメリット
- 通常のアルマイトに比べると処理コストが高い
- ショットブラスト処理では硬質異物が混入すると傷がつくことがある
- 硬質アルマイトと比べると耐摩耗性は若干劣る
6. まとめ
梨地アルマイトは、光の反射を抑えた上品な仕上がりが特徴で、化学梨地やショットブラスト梨地など複数の処理方法があります。製品のデザイン性や機能性を高めるため、用途に応じて適切な方法を選択することが重要です。
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