装置部品の材料と選び方
1. 装置部品で良く使われる材料
設備や装置の部品設計を始める際に、材料選定は重要なステップですね。様々な分野で使われる材料には、それぞれの特性や利点があります。たとえば、金属系の材料ではステンレス鋼が耐食性や強度に優れており、機械的な部品に適しています。アルミニウムは軽量で加工がしやすく、熱伝導率が高いので熱交換器などに利用されます。プラスチック系の材料も幅広い特性を持っています。ABS樹脂は強度があり耐衝撃性に優れているため、機械部品や筐体として使われます。ポリカーボネートは透明度が高く、耐熱性や耐候性にも優れているため、光学部品や屋外設備に適しています。材料の形状や規格についても重要ですね。例えば、金属材料では棒状、板状、管状など様々な形状や規格があります。これらを利用することで、設計段階で材料の特性を最大限に活かしたり、無駄な加工を減らすことができます。設計に適した材料を選ぶためには、その部品がどのような環境で使用されるのか、必要な特性や耐久性、寸法などの要件を考慮する必要があります。また、コストや加工性、リサイクル性なども考慮材料の選択に影響を与えます。そのため、部品設計を始める際には材料の特性だけでなく、形状や規格も含めた幅広い視野で検討することが重要です。
2. 材料の一般的な形状とは
材料の形状や規格を理解し、それを部品設計に適用することは効率性やコスト面で大きな影響を与えます。フライス系の切削加工での部品製作には、ブロック材やプレート材の利用が一般的です。これらは加工しやすく、必要な形状に削り出しや穴を開けることができます。一方、旋盤系の場合は丸材やパイプ材がよく使われます。これらは旋盤加工に適した形状で、円筒状の部品を作るのに適しています。それ以外にも、フラットバーやアングル材など様々な形状の規格材料があります。これらの材料を組み合わせることで、部品の形状や機能を実現する上で柔軟性を持たせることができます。部品の設計段階で、加工方法や使用する材料の形状を考慮することは、無駄を最小限に抑え効率的な製造プロセスを確立するために欠かせません。材料の選定は部品の機能や寸法に影響を与えるだけでなく、加工時の工数やコストにも大きな影響を及ぼすので、慎重に行う必要がありますね。主な材料の形状は、以下のようなものがあります。
表1 一般的な材料の形状
材料 | 特徴 | |
ブロック材 プレート材 |
一定以上の厚みを持つブロック状の材料 機能部品全般に利用される 主にフライス系の切削加工に用いられる 6F材など高精度な材料も用いられる |
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丸棒 | 中身の詰まった円筒状の材料 軸形状部品に多く利用される 主に旋盤系(旋削加工)に用いられる 直径や長さは規格によって決まっている |
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板材 | 薄い板の材料 カバーや補助部品等に多く利用される 主に板金加工用に用いられる 板厚や大きさは規格によって決まっている |
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フラットバー | 帯状の材料 製缶部品の取り付け面やリブなどに多く利用される 幅や肉厚、長さは規格によって決まっている |
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丸パイプ | 丸いパイプ状の材料 支柱や軸形状部品に多く利用される 製缶加工や旋盤加工に用いられる 直径や肉厚は規格によって決まっている |
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角パイプ | 四角いパイプ状の材料 架台や躯体などの製缶部品に多く利用される 断面は正方形や長方形もあり、形状や肉厚、長さは規格によって決まっている |
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アングル材 | L字断面状の材料 躯体などの構造部材として製缶部品に良く利用される 形状を活かしたブラケットやレール等にも利用される 肉厚や形状、長さは規格によって決まっている |
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チャンネル材 | コの字断面状の材料 躯体などの構造部材として製缶部品に良く利用される 特に強度の必要なベース部分に多く用いられる 肉厚や形状、長さは規格によって決まっている |
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H型鋼 | H字断面状の材料 躯体などの構造部材として製缶部品に良く利用される 特に強度の必要なベース部分に多く用いられる 肉厚や形状、長さは規格によって決まっている |
3. 装置部品の製作方法と材料の選び方
装置を設計する際に、「購入部品」と「加工部品」に分けるのは合理的な手法ですね。機能部品や電装部品などの一般的な部品は市販品を活用することが一般的です。ギアやベアリング、モーターなどは市場で入手可能であり、効率的で信頼性の高い方法です。同様に、フランジや継ぎ手、ハウジングなどの構造部品も市販品を使用することで、設計や製造の合理性を高めることができます。そして、購入部品では満たせない特殊な要求や設計上のニーズに対応するために、新たに設計される部品があります。これらの部品は加工部品として設計され、通常はカスタム加工や特注製作によって製造されます。このような加工部品は、装置の特定の要件に合わせて設計されるため、装置全体の機能性や性能に大きな影響を与えます。加工部品は大きく分けると次の3種類に分かれます。
- 機能部品 – リンク、シャフト、ギアなど
- 構造部品 – 躯体・架台など
- 補助部品 – カバー、ガイドなど
機能部品
精度や剛性が必要となる、装置の“心臓”とも言える部品ですね。このような部品はやはり、高精度な加工が可能な切削加工などの「機械加工」により製作される必要があります。
使用される材料も、「ブロック材」や「丸材」からの削り出しがメインとなりますね。もちろん、部材を無駄にしないように、溶接してから機械加工するような製作方法も良く用いられます。
構造部品
機械の構造部品は、機能部品を安定して保持し、全体の安定性や強度を確保するために欠かせませんね。架台や躯体、支柱などは、機能部品を適切な位置に固定し、装置全体を組み立てる際の重要な役割を果たします。これらの部品は全体的な剛性や強度が求められるため、パイプ材などを用いた溶接によるフレーム形状が一般的です。このような製造手法は一般的に「製缶加工」と呼ばれ、機能部品を取り付けたり、構造部品同士を連結したりする際に必要な高い取り付け精度を確保することができます。製缶部品同士を連結する際には、高精度な加工が求められる場合もあります。機械加工を利用して、部品同士の取り付けや連結部分を高い精度で加工することが重要です。また、軽量化と強度確保のために、リブ(補強部材)を用いることがあります。リブにはフラットバーなどが使われ、構造部品の剛性を高めることができます。構造部品の製作方法は、装置の大きさや機能要件によって異なりますが、製缶加工が大型の構造部品を効率的に製作する手法として有効です。これらの部品は機械全体の安定性や機能性に大きく影響を与えるため、適切な製造手法と精度の確保が重要です。
補助部品
装置の性能に直接影響を与えないが重要な機能を果たす部品も存在します。カバーや補助ブラケット、シュート、ホッパーなどは、装置全体の正常な動作や安定性を保つために欠かせない部品です。こうした部品は、強度や剛性が高くなくても機能を果たす必要があるため、板材を用いた板金加工や溶接加工によって製作されることが多いです。板材を使用することで、比較的簡単に所定の形状や寸法に加工しやすく、また必要な強度を確保することができます。これらの部品は装置全体の機能性に直接的な影響を与えない場合が多いですが、装置の安全性や保護、機能の補完など、補助的な役割を果たします。そのため、適切な設計と製作が必要です。板金加工や溶接加工などの製造技術を活用することで、機械の周辺部品を効果的に製作し、装置全体の適切な機能を確保することができます。
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