SPC材について
SPCは「Steel Plate Cold」の略で、冷間圧延鋼板を意味します。冷間圧延鋼板とは、鋼板に金属のローラーで押し潰しながら伸ばす圧延(あつえん)と呼ばれる工程を施したものです。特に曲げ加工に適した材料で、炭素量が少なく柔らかい特性を持っています。
0.4~3.2mm程度の薄い板材として使われることが多いのも特徴です。薄くて柔らかい素材のため、伸びやすく加工が容易に行えます。曲げ加工やプレス加工などを施してから使う場合が多く、洗濯機や冷蔵庫などの家電にも使用されています。また、常温で圧延するため表面が滑らかで美しく、削らずにそのまま使用できるのも特徴の1つです。
SPC材にデメリットはある?
SPC材は柔らかく加工がしやすいものの、強度がやや低いのがデメリットです。強い力がかかってしまうような場所の材料には使えないので使用場所の見極めが重要になります。表面に皮膜がないため錆びやすいのもデメリットですが、表面加工を施せば問題はありません。
SPC材の5種類の品目
SPC材には用途に応じた5つの種類があります。以下の表で、SPCC・SPCD・SPCE・SPCF・SPCGの5つの特徴や用途などを詳しく見ていきましょう。
出典:JIS G3141:2017 冷間圧延鋼板及び鋼帯 表1,表5
以上のように、SPC材は種類によって特徴が異なります。適用厚さがすべて0.1mm~3.2mmの間となり、用途や加工方法によって使い分けます。基本的には一般用とされるSPCCが使われますが、絞り加工などが上手くいかないときはSPCDなどを使うのがおすすめです。
また、それぞれに含まれる化学成分の配合は以下の通りです。
出典:JIS G3141:2017 冷間圧延鋼板及び鋼帯 表4
数値で見ると小さな違いではありますが、材料として使うとなると性質に大きな違いが出てきます。5つの材料は全てSPC材ですが、少しずつ含まれている化学成分が異なります。化学成分の配合が異なることで加工のしやすさや伸びなどが多少異なるため、それぞれに合った方法で加工するのが基本です。
SPC材深絞り加工の製作実績
サイド切り欠き
こちらは板厚1.0mmのSECDを使って作られた自動車部品です。サイド切り欠きと呼ばれる加工法を使っており、サイド部分を切り抜いています。切り欠き加工は金型などを使用して材料の一部を欠損させ、形を作る技法です。
こちらも同じくサイド切り欠き加工を施した自動車部品です。切り欠き加工はシンプルな加工方法ではありますが、よく使われる加工方法の1つとして知られています。
絞り+フランジ
こちらは絞り加工とフランジ加工を組み合わせて作られた自動車部品です。絞り加工に適した板厚1.0mmのSPCDを使用し、絞り加工で円柱型を作ってからフランジと呼ばれる「つば」を形成しています。強度をアップさせるためにフランジを形成しているのが特徴です。
こちらも同じく絞り加工のあとにフランジを形成したものです。絞り加工はつなぎ目がないのは大きな特徴で、金型や加工条件がしっかり合わなければキレイな加工はできません。弊社は絞り加工を得意としており、用途に応じたものを制作できます。
表面処理
絞り加工や切り欠き加工ができるのはもちろん、表面の処理もしっかり行います。表面に被膜のないSPC材は表面処理が非常に重要です。せっかくキレイに加工しても、表面処理をしなければすぐにサビてしまいます。
岐阜精器ではSPC材の絞り加工を得意としており、プレス加工にメッキや塗装などの表面処理まで対応して製品をお届けいたします。また、弊社はお客様のニーズに合わせた製品を制作できます。SPC材の深絞り加工なら、是非一度ご相談ください。
岐阜精器工業の精密プレス深絞り加工の特徴
岐阜精器工業
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